やればできる。
の一番難しいところが、「やる」に踏み切るところだというのがモンダイだ。
そして「やる」に簡単に踏み切れる事柄っていうのは
やってもできない。
ものなのだった。
さっき冷凍庫で発掘した古い野菜で焼きうどんを作った。
今、10分に一回トイレに行っている。
バイトまであと二時間である。
10分に一本来るはずのバスを、いつも20分くらいは待っている。
運転手「次は~田園地帯前~田園地帯前~」
男「おはよう、運転手」
運転手「また君か。」
男「いつものやつで頼むぜ」
運転手「困るんだよ。この系統のバスだけ来るのが遅いって、会社に苦情が来ているらしいんだ。
ばれるのも時間の問題だ。いいかげん君もあきらめて・・・ウッ」
男「ふふ、それ以上しゃべったらこのS&Wが火を噴くぜ」
運転手「そんな脅しはもういい。今日という今日は正常に運行させてもらうよ」
男「おっと、いいのかな。娘さんに夜遊びは控えるよう伝えることだな」
運転手「私に娘はいないよ」
男「ま、間違えた。息子だ。」
運転手「私は55年間独身さ。残念ながら。」
男「ぐだぐだ言うな!」
運転手「そのコートの下にだって本当に銃があるのか怪しいもんだ・・・」
男「う、うるさい。
いいから黙って俺んちの前までバスつけやがれ。
連れのバアサンを家まで歩かせるのが一苦労なんだ」
運転手「乗客の皆さんにお知らせします~。
大変申し訳ありませんが、この先の通りで事故が発生したため、このバスはただいまより迂回して、ルートを変更して運行いたします~」
男「やればできるじゃないか」
乗客「最近は事故が多いのう~」
マックで食事をしていたら
隣の席で
快活そうな女の子と,大人しそうな男の子の大学生カップルが
最初はお互いの地元の話をしていたのだけれど、
どういう話の流れか、
地球が滅亡する一日前の過ごし方の話になりまして。
女の子の方が、
「友達全員に会うとしたら分刻みだよね」
「でもまず実家に帰る電車の時間だけでも結構かかるよねえ」
などと、
その分刻みのスケジュールとやらを語りだしたのでした。
男の子はニコニコとうなずきながらそれを聞いていて、
忙しそうにウキウキする女の子に向かって
最後に一言、
「…人気者だなあ」
と微笑んで言うのでした。
ああ、
お願いだから、
どうせそんな日なんて当分来ないし、
その場の嘘でいいから、
友達の多いその女の子には、
「地球最後の日はあなたとずっといる」
ってあの男の子に向かって言ってあげて欲しいなあ、
と隣の席でやきもきする私は、
きっと地球最後の日も寝過ごして、
マックでメタボリックな朝食兼夕食を食べているのかしら、
と切なくなって、
バイトに遅刻しそうになったのでした。
永遠にいちばん近い時間があるとしたら
それはきっとお婆さんが使っているATMの時間待ちであると思う。
かといって隣に行って手伝うわけにもいかないしな。
今日、みのもんたの思いっきりテレビを観ていた。
悪徳商法についての特集。
みのさんがスタジオの観客に向かって言う。
「さあ、この場合契約は有効になるんでしょうか?
有効になる、と思う人は①のプラカードを、
ならない、と思う人は②のプラカードをあげてちょうだいね。
はい、せ~の!」
③のプラカードを挙げていたお婆さんが何人かいた。
ホントに、高齢化についてもっと私たちも考えるべきだわね。