いきあたりばっかり。
いっつおーるらいと。
バタ子さんとジャムおじさんの関係が気になる。
■
あるとき、年上の温和なおじさん(57)に恋をしたバタ子(28)。
おじさんは、バタ子の勤める給食会社の出入りの配送ドライバーだった。
親子ほどの年の差。
でも、彼女の地味な見た目からもわかるように、それは「初恋」だった。
おじさんにはもちろん妻子がいた。
ふたりは逃げた。
みちならぬ恋。
さいごに、人目を避けるようにして森の中の家にたどりついた。
小さな釜でふたり、手作りパンを焼いてネット販売し、わずかなお金を稼いでいる。
山の動物にバタ子は名前をつける。
バタ子の寂しさの理由をおじさんは知っている。
おじさんはもう、子供を作れないからだ。
あるとき、ふざけてアンパンに顔を描いてみた。
バタ子はそれをひどく気に入った。
「おじさん、カレーや食パンにも描いてみようよ」
おじさんは少しつらかった。
二人で作ったパンを、バタ子はふたりの子供に見立てているのだろう。
「アンパンマン」は愛と勇気を大切にするヒーローなのだとバタ子はいう。
「愛と勇気が友達だから」とは、
不倫がばれて、友達のいる町を去らねばならなくなったとき、バタ子が言ったせりふだ。
いつまでたっても森の中に人間はふたりだけ。
顔の描かれたパンの種類だけが、いたずらに増えていく。
ここはメルヘンワールドじゃなくて、愛の流刑地だ。
■
というようなことを考えてしまう私は変態だと思う。
PR
Comment
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
管理人のみ閲覧可
管理人のみ閲覧可